14 まちづくりと国~届かなかったメールがある [まち・みらい倶楽部2013年秋号]

14 Members voice

助けを求めた東北の被災地の人々の声だ。海の復興へ出発との合言葉で調査船「新青丸」は、やっと今年の10月に出港した。三陸沖の海が地震・津波によってどのように変化したかを生態系や海底の地形からデーターをとりはじめるために。いまさらながら、始まったか・・・の感がしないでもない。同時に、陸上のガレキ処理においては、宮城県と岩手県は七割程度目標達成の進捗状態だが、福島県はまだ半分程度と昨今報じられている。まさしく真っ先に対処しなければならない対策が空回りしていることを示している。東日本大震災の復興には、地域の声を反映させてほしいとの要望が十分に霞ヶ関へ届いてはいない。3.11の重大さを軽んじたり、風化させないでほしい。福島原発事故対応〔汚水処理なども含めた〕の後回し政策が、わが国の現代・未来をどれだけ危うくしているのかさえ分からない人たち。先送りの国策でしかないと弾劾されても遅々とした被災地復興を知るならば致し方ない。どうやら子どもたち・孫たちに「安全・安心の国」を繋いでいく義務を大人たちが背負っていることを忘れてしまっているかのようだ。
先に述べた国づくりの根幹に関わる不明な点を正すに小泉内閣から規制緩和を推し進めた結果、各地の地域活動・まちの現状を捉えれば、格差社会の矛盾が渦巻いていることに気づかずにはいられない。零細企業や個人商店が生き残りをかけて事業継続を望んでも、緩和策による大企業優先社会が当たり前となり、消費増税や厳格な融資壁に突き当たるケースも多々ある。一気にシャッター通りが増えたままである。これらを乗り越えるには、産学官民一体化した支援・提携による「なおざりでない」実現可能な変革・行政の取り組みが必要だと声を大にして訴えたい。アベノミクスは景気回復願望の国民意識を高め、異次元の金融緩和と財政出動に支えられた株高社会を出現させている。
しかし、外国人投資家〔ヘッジファンド〕の累積買い越しで庶民の生活が豊かになっていないのが現実ではないだろうか。その証拠に、給与が上がったとの実感すら多くの国民にはない。電力料金・ガソリン価格の動きからも明らかなように物価全般を押し上げつつある。
結局のところ、マネーゲームで恩恵をうける階層を汗する階層よりも「徳」とするようなことがあってはならない。貿易自由化の流れで38%までに落ちた食料自給率をどのようにして高めるのか。人間社会は「オモテ」論だけでは営めない。「ウラ」論の支えがあってこそ「オモテ」論が生きる。だが、無策続きであってはならない。追随主義であってもならない。古い高度成長型志向経済や戦前の力論理を賛美して、格差社会を是認することなく、行きすぎた規制緩和のトバッチリを受けたシャッター通りの「まちへの活性化推進事業」に長・中期緊急計画をたてよう。地方経済・産業へのテコ入れとともに、過疎化対策の見直しと有効な支援枠の拡大は必要だ。そして、高齢化社会が求める介護・福祉・教育へ心・血の通った人的支援と金融支援などと、本格的に取り組まなければならない時代に突入していることを国のリーダーたちに認識されなければ、わが国の未来はない。
ぜひ指導者たちは、広く国民の声に耳を傾け国の舵取りを願いたい。私は、心あるリーダーたちへふたたびメールを送信する。病院でも学校でも津波は押し流したならば明日にむかって私たちの「まちと国」を力のかぎり育てよう。

 

代表理事 塗田敏夫