23 山田監督と吉永小百合さん [まち・みらい倶楽部2016年早春号]

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人間として一番欠けたところは何か?と問えば、世情と人情に疎いことだろう。しかし、山田監督が取り組む作品の数々には、寅さんに代表される【人情とはなにか】が語られてきた。また女優吉永小百合さんは、【いろいろな作品を通して】家族の生き方を演じる中に【平和】を語っている。私たちは、ややもすれば現在社会の常識に逆らうことなく、偉い人々の決めたことを鵜呑みにして、沈黙を貫くことが身の丈にあった生き方だとしてはいないだろうか。一例としての昨今の新聞メディアの姿勢に違和感を覚える。それは【両論併記】ということ。多種多用な意見を紹介することは、否定意見に賛成意見を加味すれば、結果印象として【批判】が見えなくなる。
戦争に良い戦争や悪い戦争があるはずもない、と世界で唯一の被爆国民の私たちが認識して将来を見据えたい。大きな出来事があれば、常に表面的な部分だけを見て感情的にならず、隠されたところになにがあり、誰が得をして、個々の中で自分自身を保つことができるのかを見極めよう。私たちがいきている21世紀には理解する人間の力を超えた不可思議な世界が横たわる。ベトナム戦争下に戦場カメラマンが撮った一枚の少女の写真は、世界中の人々に衝撃を与えた。ナパーム弾で火傷をおって素っ裸で泣き叫び逃げていく姿を見て。今、またシリア内戦で逃げていく難民の中で溺れ死に、海岸に打ち上げられた幼い子どもを撮った一枚の写真は、欧州の政治を省みて難民の受け入れを『人間たちは』後押しする。
しかし世界でたった36人の富豪が世界68億人のもつ生きる糧に匹敵する財をなしていると報じられている格差社会は拡がるばかり。人間は地球上で残虐行為を繰り返し殺しあい婦女子に暴力を振っている。野獣だって人間ほど残虐行為はできないのに、知恵もつ人間は神の名の下に宗教間の共通点を認めあうことより、差異を強調して戦争を正当化する。いつの世も正義の旗をかざしているが戦争が平和を生み出すのだろうか。
我が国も少子化の現実に直面をして慌てて対策を講じようとしている。だが果たして思惑通りの考えで順風満々の社会ができるはずもない。形だけの公聴会や審議会などでガス抜きをすることなく時間をかけて『民の声に耳を傾け』我が国の構築を成し遂げたい。まさしく『まちづくり』としての『自己革新』が図られる社会を目指しながら、『まちおこし』となる『連帯・自由・平等・平和』を推進できる幅広い政策展開が望まれる。無理やり『答えがない世の中』に『変身』を早急に求め『服従』こそ『愛』だと強いて、圧倒的な力の前に屈服せよと豪語してはならない。
夏目漱石は『それから』で庶民の生活描写を通じて『世間』を描いたのです。そのことは『共生』を意味すると考えられよう。私たちはこの社会に落胆することなく、牛歩のごとくでいい『まちづくり』活動を通して『社会の中で生きる』と言う意味を知ることができれば肯定的な未来の道を歩むことになり得るのですから。

 

代表理事 塗田敏夫